たしかに、ヤス先輩の話術は神様からの授かりものかもしれない。
きっと老若男女問わず、どんな人でも、彼にかかれば簡単にふにゃふにゃに懐柔されてしまう。
だけど、だからといって、それでとーご先輩のほうが劣っているなんてことは、絶対ないはずなんだ。
「わたしは、とーご先輩もほんっとうに素敵だと思います! 誰に対してもわけ隔てなく優しくて、いつも圧倒的にキラキラで……」
「キラキラ?」
「ああっ、いえ、……だから、その、ええとですね、」
ひとりでアタフタしていると、上からふわりと、あの軽快な笑いが降ってきた。
「ありがと、千笑ちゃん」
「あ……」
「千笑ちゃんと話すと元気出る!」
外見だけじゃない、中身まで本当にキラキラしていて、お腹の底からぐわあっと、なにかが押し上げられるみたいな感覚がした。
「わたしのほうが……いつもたくさん、元気もらってます」
「え?」
「わたしだけじゃないです。とーご先輩の笑顔はみんなを元気にしてくれるんです! ほんとーです!」
ぜんぶ本当の気持ちだった。
「うん、ほんと、ありがとう」
でも、とーご先輩は相変わらず、まるでお世辞を受け取るみたいに、照れくさそうに笑うのだった。



