「あの、ところで、どうしてとーご先輩がうちのクラスに……」
「だって冬吾がどうしてもチィちゃんのラブリーエプロンスタイルを見たいって言うから」
純粋な疑問がぽろりと口からこぼれ落ちてしまったのを、フライング気味でレシーブしたのは、目の前にいる先輩ではなく、その相棒のようなもうひとりの先輩だった。
このふたりが揃うと本当に圧巻だ。
うちのクラスの女子なんかは仕事をほっぽりだして騒いでいるし、ふたりのことを知らないはずの一般のお客さんまでざわざわしている。
「っ、泰人、ほんとに……」
「なーんてね。ほんとは、おれがさやちゃんのラブリーエプロンスタイルを見たかった、が正解でしたー」
怒った顔をむけたとーご先輩から逃れるみたいに、ヤス先輩がへらりと笑った。
「でもほーんと、チィちゃんもすごく可愛い。お姫様かと思ったもんね」
こんなにワザトらしい社交辞令なのに、まるで本物の言葉かのような響きにすることができるのは、きっとヤス先輩だけが使える技だ。
「そういうこと軽い感じで言うのやめろって何回も言ってるだろ」
「だからおれはいつも思ったこと言ってるだけだって。つーか、冬吾もチィちゃんに言えばいいじゃん。エプロンすごく似合ってる、可愛いよ、って」
「っ、おれはおまえとは違うんだよ!」
お世辞や社交辞令を口にしないというスタンスはとーご先輩のイメージそのもので、すごく納得できると同時に、少しだけ悲しい気持ちにもなってしまった。



