純情、恋情、にぶんのいち!





長いようでとても短かった学祭ウィークが幕を閉じ、あんなに楽しみだった、学祭当日。

いざ迎えてみると、慌ただしかった準備期間のほうをとても恋しく感じてしまうのは、すごく不思議だなあと思う。


「ねー! ほら、やっぱりかわいいー!」

「わたしは絶対に裏方がいいってあんなに言ったのに……」

「なんで! 世界一似合ってるのに!」


どちらかというとビューティー系のはずなのに、フェミニンなデザインのエプロンもさらりと着こなしてしまうさーちゃんは、その美しさに似合わないしかめっ面を朝からずっと浮かべている。


きょう店頭に立つ要員には、わたしのような希望者のほかに、さーちゃんのような素晴らしい客引きになりそうな男女もあてがわれた。

そりゃ、売上の一部をクラスのみんなで分け合えるとなれば、必死になるのも無理はない気がする。

でも、そのあたりに関しては、もしかしたら少なくない人数の下心も、多少は反映されているかもしれない。


「ほんとね、わたし、生まれ変わったらさーちゃんのお顔になりたいもん」

「わたしは生まれ変わったらチィみたいに惜しげもなく他人をベッタベタに褒められる性格になりたいよ」

「う……それは、ナンデスカ、嫌味デスカ」

「なんでよ? 長所だって言ってるんだけど」


指の腹でオデコをぺしっと叩かれると、自分でも驚くほどいい音が鳴った。

さーちゃんがからりと笑う。


「澄田、来てくれるといいね」


ふいうちでそんなことを言われたら、なんとなく急に恥ずかしくなって、へへ、と笑い返すしかない。


「あ、あと上杉先輩もか」

「っ、じゃあヤス先輩もだね!」

「いやほんとに呼んでない、呼んでないから来ないでほしい、むしろなんらかの権力を駆使して出禁にしたい」


いったいヤス先輩のなにがさーちゃんをここまでさせるのか。

人をすごく好きになることもないけど、すごく嫌いになることもめったにない、クールなさーちゃんだから、逆にものめずらしくてそわそわしてしまう。