純情、恋情、にぶんのいち!



ヤス先輩が歩みを進めていくのを必死に追いかけていると、気づけば中庭まで連れてこられていた。


「チィちゃん、なんか飲む?」

「えっ」

「もしかして緊張してる?」


そりゃあ、だって、あのヤス先輩とふたりきりですし。
クラスメートにも、ものすごーく見られていましたし。

けれどヤス先輩はわたしの返事など待たず、木陰に腰かけると、ぽんぽんと芝を叩いてこんな平凡な後輩を隣に招待してくれた。


「気持ちいいよ、ここ。お気に入りの場所なんだ」


ヤス先輩に誘われたら、並大抵の女の子は拒否できないということを、身をもって感じる。

ちょこん、と隣に座ってみると、本当に涼しい風が吹いて気持ちよかった。

それでも、ヤス先輩はさっきから風に吹かれた髪をかき上げるばかりで、なにも話そうとしてくれない。


……気まずい。


思いきって横顔を盗み見ると、その表情はなにを考えているのかまるでわからなくて、じんわりと手に汗までかいている自分が、なんだか恥ずかしくなった。


「……あの、」


そうしてついに口を開いたのは、沈黙に耐えられなくなったわたしのほう。


「んー?」

「あの、ヤス先輩は」

「うん?」

「ヤス先輩は……さーちゃんのこと、どう思ってるんですか? ほんとにスキ、なんですか?」