純情、恋情、にぶんのいち!





翌日から授業が午前のみとなり、午後からはそれぞれが学祭の準備に勤しむ“学祭ウィーク”に突入した。

衣装づくりに貢献のできない、裁縫苦手女子一派のさーちゃんとわたしは、教室の隅っこで仲良く看板作りをしている。


「あ、ねえ、そういえばね」


100円ショップで買ってきた色画用紙を、ハサミで星のかたちに切りながら話しかける。

さーちゃんはそれを受け取り、糊付けしながら「なに?」と聞き返した。


「ね、あのね、ヨウ先生がウチのカフェ来てくれるって!」


興味ゼロの横顔は作業を中断せず、へえ、と抑揚なく言った。


「は、反応うす……」

「あーはいはい、よかったねー」

「ねー、そこまで棒読みになることある?」

「ごめんって、だって、澄田が来ようが来まいがホントにどうでもよくて」

「あーもーいいですよーだ」


ぶうと膨れながらしぶしぶ作業へ戻る。

下書きの線に沿ってジョキジョキとハサミを進めていると、なんとなく視線を感じた。

いままでさんざん塩対応をしていたさーちゃんが、じいっと見つめてきているので、思わず手を止めた。

なにおう。
もしかして、いまさら、ご機嫌とりでもしようとしているわけ。