「おまえのどんくさい接客も見たいしな」
眼鏡のない先生は相変わらず絶望的にいじわるだ。
でも最近は、こんなのに徐々に慣れつつあるのも、また事実。
「いいです、それでもうれしいです、当日会うのはきっと優しいほうのヨウ先生だしっ」
「どうするんだよ、なんかの手違いで俺のほうが行くかもしれねえぞ」
「そしたらみんなにバレて困るのは先生なので知らないですっ」
「なかなか言うようになったじゃねえか」
世界一痛くないデコピン。
眼鏡なしの先生はいじわるだけど、ちゃんと手加減をしてくれるから、それをわかってきてしまったから、もう本当に怖くないんだ。
だからたぶん、わたしは将来、高い壺は買わなくて済むと思う。
「まあ、せいぜい、頑張れよ」
「がんばります!」
いきなりやる気が満ち溢れてきた。
きっとからかわれるだろうから、ヘマだけはしないように、気をつけよう。
本当はヘマをして、からかわれるのも悪くないと思っているかもしれないことは、絶対に内緒にしておこう。



