「……来て、くれますか?」
きっととてもずうずうしいお願い。
こんなふうにお願いして、自分のクラスの出し物に来てくれるなら、ヨウ先生にそうしたい生徒はたくさんいるはずだ。
「もしお時間があれば……先生に、遊びに来てほしいです」
もちろん、ダメでもともと。
受け持っている2年D組のことでそれどころじゃないだろうし、そのうえで余裕があれば担当学年の2年生を優先するに決まっている。
でも、言ってみるだけならタダだし。
ヨウ先生は優しいから、本当に来てくれるかもしれない。
「そうですね」
マグカップを机の上に置き、先生は目を伏せながらうなずいた。
「なんといっても神田先生のクラスですし」
「っ、来てくれるんですか?」
夢みたいな返事に、思わずぱあっと顔を上げる。
するとなぜか、おもむろに、先生が笑いながら眼鏡を外していった。



