もしかしたら相当やばいことがあったのかも。
チュウされそうになったり?
もしや、本当にされてしまったり?
なにせ相手はあのヤス先輩だ。
砂糖菓子のような空気で甘ったるく相手を飲みこんで、鉄壁のさーちゃんですら、ふにゃふにゃに溶かすこともお手のものかもしれない。
「それよりチィ」
「はいっ」
「きょうは澄田のところには行かなくていいの?」
「はっ! もうこんな時間!」
でも、これはきっとさーちゃんに言ったら怒られるだろうけど、わたし的にはさーちゃんは、ヤス先輩のような男の人がよく合うんじゃないのかと思う。
「いってきますっ」
「はーい、いってらっしゃい」
ヤス先輩ならきっと、強気で勝気なさーちゃんを、女の子として上手に甘やしてくれる気がする。
経験値ゼロの村娘Aがなにをえらそうに、と言われてしまったら、それまでだけど。
ロマンスグレーのオジサマ、はひとまず置いといて、さーちゃんがいままでどんな男の子を好きになってきたのか、けっこう気になるところだ。



