純情、恋情、にぶんのいち!





体育祭が終わったと思ったら、すぐに学祭がはじまる。

短い秋のあいだに一大イベントがふたつもあって、慌ただしいけれど、やっぱりわたしはこんな非日常にはワクワクしてしまうタチなのである。


「――じゃ、1Bはカフェに決定ということで!」


うちのクラスは様々のドリンクを提供するカフェをやることになった。

わたしのようなイベント好きがクラスに多く、衣装もこだわろうというので、男子はベストとサロンを着用し、女子はフリルワンピースのようなエプロンを着用することが決定した。


「中学のときはこういう学祭じゃなかったから楽しみ!」


盛り上がる教室の端っこではしゃいでいると、話し合いにはあまり参加していなかった隣のさーちゃんが、大きなため息をつき、かったるそうな顔で頬杖をついた。


「わたしは裏方で」


なんともさーちゃんらしいせりふだ。


「ドリンク作ってるだけなんてもったいないよう。さーちゃんぜったいエプロン似合うのに」


美しいお顔が瞳だけを動かして、じろりとわたしを見た。


「まあ上杉先輩は、チィのエプロン姿をきっと楽しみにしてるだろうね」

「なっ……!?」


……にゆえ、ここでとーご先輩が出てくるわけ!


「そういえば上杉先輩のクラスは執事喫茶やるんだってね」


さーちゃんが2年A組の情報を知っていることよりも、その内容のほうが圧倒的に衝撃的で、椅子から転げ落ちるかと思った。