純情、恋情、にぶんのいち!



カイリセイ……、
語彙に追いつけなくて固まってしまう。


「僕と、彼とは、まったくの別人です」


ヨウ先生はもういちど、念を押すように言った。


「ですから僕は、可愛い生徒のことを怖がらせるようなことは一切しませんし、逆に言えば、僕ではない彼は、きみを怖がらせるようなことを平気でするかもしれません」


なるほど、

だんだん、わかってきた、かもしれない。


「えっと……つまり、ひとりの先生が、ふたつの性格を持っているわけじゃなく、ふたりの先生が、ひとつのからだを共有している……という解釈で合ってますか? いまの先生は、きのうの先生とは別人で……ちゃんと、わたしの知ってる、優しいヨウ先生だってことですか?」


先生は小さく笑った。
それから、同じくらいの小ささで、うなずいた。


「100点満点ではないですが、及第点以上です。野村さんはなかなか理解力がありますね。もしや化学も得意なのでは?」

「かっ……壊滅的に……できません……スミマセン……」

「それは困りましたね。神田先生が担任だというのに」


だってカンちゃんの授業って本当にテキトーなのだ。
あの、授業についていけていない生徒への配慮のなさ、本物の理系という感じがする。


ヨウ先生はどういう授業をするのだろう?

想像して、受け持ってもらっているはずの2年生の先輩たちのことを、心の底から羨ましく思ってしまった。