この先をどうしたらいいのかわからず、スカートをぎゅっと握ってうつむいていると、わたしの前に突然、大きな影が現れた。
ヤス先輩だった。
気だるげにポケットのなかに手を突っこみ、同じくらいの目線にいるヨウ先生をへらりと見ている。
「澄田っち~? 野暮なことは言わないでほしいな。この状況見てさ、なんとなくわかんでしょ?」
くす、と先生が笑った。
「本当に、佐藤くんには負けますね」
「約束がなんなのかわかんないけど、あしたに回して、きょうは千笑ちゃん、おれらに貸してよ」
先生の「もちろんです」は即答だった。
あまりに即答で、なぜか、どうにも、腑に落ちない。
「はーい、話まとまった」
ふり返って笑うヤス先輩を見上げたら、その肩越しに、ヨウ先生の顔がちょうど見えた。
いつもと変わらないヨウ先生。
優しく笑ってくれるし、言葉遣いは丁寧だし、物腰はやわらかいし、わたしが困ったら、いの一番に助け船を出してくれた。
じゃあ、あのヨウ先生は、誰?
そして、このヨウ先生は、誰?
「……っ、あの、やっぱりわたし!」
――だめだ、どうしても、知りたい。



