ヤス先輩はさーちゃんをいたく気に入ったのか、ずっとべったりなので、自然にわたしはとーご先輩の隣を歩くことになった。
恐れ多いことこの上ない。
呼吸するのすら、気を遣ってしまう。
「千笑ちゃんと藤沢さん、ぜんぜんタイプ違うのに仲良いんだな。いつからなの?」
「あ、高校から……出席番号が前後だったのがきっかけで」
「あ、そっか、なるほど、“の”と“ふ”だもんな」
ぜんぜん上手にしゃべれない。
それでも優しいとーご先輩は、ずっと笑顔を絶やさないで、ウンウンとわたしの声に耳を傾けてくれる。
「とっ、とーご先輩とヤス先輩もけっこうタイプ違うのに、めちゃくちゃ仲良しですよね!」
やはり、類は友を呼ぶ、なのだろうか。
ふたりの共通事項はもちろん、突き抜けて顔が美しいことだ。
「あ、うん。泰人とはほんとに子どものころから一緒にいるんだ」
「え! それはもしや、いわゆる幼なじみってやつですか?」
「そーそ。意外とあんまり知られてないんだけど、家が近所で」
「はええ……!」
さぞかしご近所でも有名なコンビだったに違いない。
ふたりがどんな幼少期を過ごしていたのか、どうしてこうも違うタイプのイケメンに育つに至ったのか、とても気になるところである。
「いいなあ。わたし、幼なじみって呼べる存在がいないから、すごく憧れちゃいます」
「そんなにいいものでもないよ。おれなんかいつも泰人に怒られてばっかだし」
なんと、とーご先輩がヤス先輩に怒られるのか。
それは、どちらかといえば逆なのかと思っていた。
意外だな。
おもしろいな。
ふたりのことは手の届かない芸能人みたいに思っていたから、聞くことすべてが新鮮で、それも、とーご先輩ご本人の口から聞けるというのは圧倒的に特別で、どきどきする。



