でもとーご先輩は少し困ったように笑い、右の人差し指で、こすこす、と鼻の頭を2回撫でたのだった。
そして恥ずかしそうに、遠慮がちに笑う。
「憧れとか……おれはほんとにぜんぜん、そんなふうに言ってもらえるようなやつじゃないよ。でも、素直に嬉しい、ありがとう」
なんという謙虚なお方なのだろう。
見た目もよければ中身もよいのか。
神はいったい、いくつのモノをこの方に与えたもうたのだろう。
とーご先輩のキラキラに見とれていたら、いきなり肩を叩かれた。
ぽん、という優しい手のひらの持ち主は、ヤス先輩だった。
「じゃ、このまま4人で帰ろーよ」
「嫌です。わたしはひとりで帰ります」
「えー、さみしーこと言わないでよ。そしたらおれがあぶれるじゃん?」
どこまでもブレないさーちゃんと、どこまでもあきらめないヤス先輩。
ふたりのやり取りは、ちぐはぐなようでとてもテンポが良くて、これがファーストコンタクトだということを思わず忘れてしまいそうになる。
「じゃ、そーゆーことで決まり! ほら、千笑ちゃん、さやちゃん、カバン持って」
それどころか、あのさーちゃんのことを、ヤス先輩はいつのまにか『さやちゃん』なんてフランクに呼び始めている。



