温度差の激しすぎるやり取りを見ていると、ふいに、声をかけられた。
「千笑ちゃん、あのさ!」
なんだろう、音すらキラキラしているのだから、とーご先輩の輝きはきっと並大抵のものじゃない。
条件反射で見上げたけれど、まぶしすぎて、少しだけ目を逸らしてしまった。
「きのうさ、ごめんね」
「えっ?」
謝られるようなこと、なにか、されましたっけ?
「なんか……おれ、すごい一方的だったなと思って。応援団やろう、とか、ハチマキ交換しよう、とか。けっこう強引だったし、やっぱ困ってたよなあって、家に帰ってからもずっと思い出しちゃってさ」
そんな、めっそうもございません。
そして、家に帰ってからもこのような村娘Aなんぞを思い出させるなど、大変おこがましいことをしてしまい、世が世ならわたしはきっと無礼者として処刑されていたはず。
「あの、すごくうれしかったです!」
「え……」
「とーご先輩は、なんというかその……後輩からもすごく人気のある憧れの先輩なので、やっぱりちょっとびっくりしちゃいましたけど。だからこそ、嫌なわけないんです! ぜったい、ほんとです!」
さすがにご本人にむかって『王子様』だの『イケメン』だの『高貴な存在』だのと言うのははばかれて、極限まで言い方はぼやかした。
すごく人気のある憧れの先輩。
我ながら完璧な文言だと思う。



