かなり遊んでいるという噂は本当だろうと確信する。
きゅっと細くなった目と、ぐっと上がった両の口角と、甘えているようで、甘やかしているような声。
ヤス先輩のすべてが、それを物語っている。
「……気安く触らないでいただけますか」
たぶん、間違いなく、ヤス先輩に手首なんかを握られたら、わたしはこの場で気を失っていた。
それを冷たい顔で一蹴してしまうさーちゃんは大物だ。
「あ。ごめんね、嫌だった?」
「はい、とても、不愉快です。初対面で触ってくるなんてあまりにも非常識です」
「うわー、ごめんね。つい、うっかり、きみがあんまり綺麗な肌してたから」
最後の一言に抜かりのなさを感じる。
わざとならさすがとしか言いようがないし、これがわざとでないなら、ヤス先輩は神によって選ばれた本物のプレイボーイだと思う。
「名前は? なんていうの? 教えてほしいな」
「……、藤沢さやかです」
「さやかちゃん、かわいい名前だ。なんて呼ぼうかな」
「お好きにどうぞ」



