「なーに言ってんの、澄田っち」
いままで押し黙っていたヤス先輩が、いつもの調子でのんびり笑った。
「おれたちは協力者じゃん。取り繕う必要なんてないっしょ。じゃなきゃ、いま、チィちゃんをこんなところに連れてきたりなんかしてないよ?」
隣のさーちゃんはどこかムッとしているけれど、それに気づいたヤス先輩が、ツヤツヤの黒髪を撫でてなだめた。
「ね、さやちゃんもそう思うっしょ」
「…………」
「あはは、さやちゃんもそう思うってー」
「なにも言ってない!」
やっぱり、このふたりのなんともいえない絶妙なテンポ感、いいなあ。
「……次、チィがあなたのせいで泣いたら、コロしますよ」
「おっかねえな」
「言っとくけど本気ですから。まだ完全に認めたわけじゃないですからね!」
チィに免じて、と最後に添えたさーちゃんに、泣きそうになってしまった。
ずっと涙腺がバカになっている。恥ずかしい。
それに気づいてか、先生がわたしの肩を抱き寄せて、ありがとうと、たぶん誰に伝えるでもなく、もしかしたら全員に伝えるみたいにして、小さくつぶやいたのだった。
「澄田っち、それはおれからも言っておく。チィちゃん泣かせたら黙ってないよ、冬吾が」
「おれかよっ」
「あれ、違った?」
「えっ……、いや……違くは、ない……けど」
もごもごと消えていく語尾がとーご先輩らしくて、ヤス先輩といっしょになってコッソリ笑ってしまった。



