「上杉と佐藤と藤沢にもバレたんだ。もはや取り繕う余地もないだろ」
「で、でも、先生、待って」
たとえヨウ先生が教師じゃなくなったとしても、きっとわたしは変わらないで、この人を好きでいると思う。
けれど、問題はそこじゃないのだ。
「わたし、先生にとって教師は、天職だと思うんです」
ヨウ先生は、教師をしている自分なんて、好きじゃないのかもしれない。
現に、そうなりたかったわけでもないと、何度もくり返し言った。
でも、絶対にそうなりたくなかったわけでもないのだと、わたしは感じたよ。
「先生……生徒からすごく人気があるけど、それって、優しいとか、かっこいいとか、そういう表面的なことだけじゃない気がする。化学の勉強を見てもらったとき、そう思ったんです」
期末考査、化学が壊滅的なわたしでも驚異の92点を取ることができた。
あれは間違いなく先生のおかげだった。
こんなすごいこと、どんな先生だってできるわけじゃないと思う。
「わたし、ばかだからうまく言えないけど……学校で会う先生は、ほかのどんな瞬間より、いっちばんかっこいいです」
わたしが最初に好きになったのは、入学した高校で出会った、化学の澄田陽平先生なんだ。



