純情、恋情、にぶんのいち!





先生の胸にうずくまって泣き続けるわたしの髪を、少しだけ温度の低い大きな手が、ずっと撫でてくれていた。


「おまえ、そんなに泣いてると、体中の水分なくなるんじゃねえのか」

「だ、だって……」


先生を好きになった自分の心は間違いじゃなかったと、全部を聞いて、曇りなく思える。


「わたし、ヨウ先生を好きでいてもいいんですか……?」

「そうじゃきゃ困ると言ってるんだ」


夢を見ているのかもしれない。

目を覚ましたらまた現実の続きが始まって、そこはヤス先輩の部屋ですらなくて、いいや、むしろ、ヨウ先生の秘密を知る前だったりして。


頬をつねった。ちゃんと痛い。

なにしてんだ、と先生が呆れたように笑う。


夢じゃ、ないのかもしれない。


「そのかわりと言っちゃなんだが、もう教師は辞めるつもりでいる」


これには一同唖然だった。仕方ない。

やはり、その思考はぶっ飛びすぎではないのでしょうか、先生。

さすがのさーちゃんでさえ言葉が出ないようで、目をぱちくりさせている。


「べつに、もともと教師になんてなりたかったわけでもねえし、ここらが潮時だろ。幸い勉強もそれなりにしてきたし、再就職にも困らねえよ」

「いやいや……いやいや先生」

「泣いたまま真顔になるんじゃねえよ」


そりゃあ真顔にもなります。
笑い飛ばす余裕すらないです。

わたし、もしかしたら、ものすごい人を好きになってしまったのではないでしょうか……。