純情、恋情、にぶんのいち!



Side.YOHEI




俺の人生はひとつとして始まったはずだった。

マイペースな母親と、厳格な教師の父親。あとは、良くも悪くも奔放な弟。
どこにでもありそうな、ありふれた家庭に生まれ、育てられた。


最初にコンプレックスを感じたのはいつだっただろう。

両親のどちらか二手に分類するとしたら、俺は父親似、弟は母親似だと言われることが圧倒的だった。

それは顔の造形のことでもあり、しかしそれ以上に、各々の性格を指しての評価だということを、俺は幼いながらに理解していた。


子どものころは弟よりも俺のほうが褒められることが多かった。
それは、俺が、厳しい父に褒められたくて、父に叱られることが恐ろしくて、“いい子”であろうと努めていたからだ。

弟は、そういう俺を反面教師にしてか、のびのびと、奔放に育っていった。
一般的には良くないと言われるような、小さな悪いことも人並みに経験していただろう。


俺は、そういう弟を疎ましく思っていた。


――弟のほうが、圧倒的に要領がよかったから。


弟は決して父の言いなりにならなかった。
むしろ、のらりくらりと反抗しては、叱られてばかりだった。

おまえのようなやつが俺の息子であることが恥ずかしい、
そういうような類の酷い言葉も投げつけられていたと思う。

それでも、生まれ持っての奔放な性格の弟は、そんなことでいちいち傷ついていないようだったし、天性の愛される力を持っていたから、父と母からもなんだかんだ俺以上に可愛がられていた。

あのコはああいうふうだからしょうがない、
そういうふうに言われていたのは、諦められていたのでなく、弟はまるごとすべてを認めてもらっていたのだと思う。