「せ、せんせ……!? み、み、みんながっ……」
「いい」
「へあ……」
「誰がいようが、いまいが、俺が何者であろうが、おまえがどうだろうが、なにも関係ない」
力強かった腕が少し緩んだかと思えば、次の瞬間、先生の両手に頬を包まれていた。
すり、すり、ゆったりとしたペースで頬を撫でられている。
安心して、ぼろりと、大きな粒が目から落ちた。
そのまま、思わず、先生の大きな手を上からぎゅっと握りしめた。
「もう二度と戻ってこないかと思ってた」
噛みしめるみたいにそう言った先生のおでこがゆっくり下りてくる。
少しして、こつんと、優しい強さでぶつかる。
あとから、あとから、涙の粒が頬に降り注いだ。
「……ごめん、傷つけて、不安にさせて、泣かせて、怖がらせて、ごめん」
はぐらかすのが上手で、優しい嘘をついてばかりの先生。
先生は、いつも、いつも、ずるい大人だったくせにね。
わたしのことを子ども扱いしてばかりだったくせにね。
やっぱり、ずるいですね。
そんなに本気で謝らせて、わたしのほうこそごめんね、先生のこと信じられなくて、ごめんね。



