「クソ教師」
全員がリビングにそろうなり、開口一番そう放ったのはもちろんさーちゃんだ。
「あなたみたいなクソ教師のせいで、わたしの大事なチィが泣いてばかりです。どう責任とってくれるんですか」
「さ、さーちゃん……っ」
「チィは黙ってなさい」
ヤス先輩がそっとさーちゃんの肩を抱いた。
よしよしと頭をなでられ、さーちゃんは悔しそうにくちびるを噛んだ。
「まずはチィちゃんが言いたいこと言おう」
「あ……」
「ここに来るって言ったのはチィちゃんだよ。伝えたいことがあるんだよね」
ヤス先輩の優しい微笑みに後押しされて、先生の顔を見る。
ああ、わたしってやっぱり本物のおばかさんだな。
顔を見るだけで、まだ、こんなにも、好きだと思わされてしまう。
首に抱きついて、耳元に顔をうずめて、大好きですって、なりふりかまわないで、言ってしまいたい。
「せ、んせ……わたし、あの……」
それなのになぜ、うまく息ができないの。
なぜ、こんなにも胸が苦しいの。
なぜ、まぶたが熱くなって、喉の奥が痛くなってしまうの。
わたしは、この期に及んで、なにを怖がっているの。



