「だって……せんせい、が」
「はい」
たった2文字のみだけど、丁寧な返事。
笑顔も崩れていないし、声のトーンも普段と変わらない。
「きみは本当に、嘘がつけない性格なんですね」
「せ、んせ……」
「素直でとても愛らしい、という意味です。褒めているんですよ」
……あれ?
本当に、いつもとなにも変わらない、かも。
まるで“あっち”のヨウ先生などはじめから存在していなかったかのような、普段どおりの、完璧なヨウ先生だ。
やっぱりきのうのは、ぜんぶ夢だった?
「あのっ、……先生、」
「――あれ、チィ?」
あまりの肩すかし感に意を決し、なにかはわからないけど、なにかを訊ねてみようとした瞬間、それは別の声に簡単に遮られてしまった。



