純情、恋情、にぶんのいち!




ここに来て指が震えてしまったわたしのかわりに、先生のマンションのインターホンを押してくれたのは、さすがといったところか、藤沢さやかサマであった。

誰が来たのか予測していたのか、はたまた画面で確認したのか、インターホン越しのやり取りはなく、重々しく開いたドアから眼鏡のないヨウ先生が顔を出した。


「こんにちは、澄田先生。気分はいかがですか?」


さーちゃん、とーご先輩、それからヤス先輩。
ずらりと並んでいる3人を順番に見ながら先生が訝しげに眉をひそめる。

そして、最後にこっちに向いた視線と、ばっちり正面から目が合った。

気まずくて咄嗟に逸らしたくなったけど、もう、逃げないって決めたんだ。


「先生、おじゃまします。あ、それと、もうすでにチィからいろいろと聞いてるので、眼鏡はかけてくださらなくて大丈夫ですよ」


それにしてもさーちゃんの機嫌がすこぶる悪い。
その毅然とした態度には先生もたじたじで、拒否することなく、すんなり家に上げてくれた。

さーちゃんの後に続くのは、律儀にきちっと靴を揃えるとーご先輩と、それから先生にへらりと笑いかけたヤス先輩。

そして、どうしても足がすくんで取り残されてしまったわたしに、先生のまなざしがまっすぐ刺さったのだった。


「……入らねえの?」

「は、入り、ます」


いつもより少し低い声。

ひとりで来なかったこと、勝手にみんなを連れてきてしまったこと、怒っているのかもしれない。