「……っまだ、間に合うと思う……?」
袖で涙をゴシゴシ拭いたら、セーターのウール素材で頬がヒリヒリした。
でも、これは、いまのわたしに絶対的に必要な痛みだと思う。
「そんなの知らないよ」
さーちゃんが冷たく答える。
「それはチィ次第なんじゃないの?」
そのあとで、そう言って手を伸ばすと、まだ目元に残っている涙を拭ってくれた。
ポンポンと押し当てられるコットンがとても優しくて、少しずつヒリヒリが和らいでいく。
「澄田のことが、好きなの?」
その答えはよく考えなくともわかりきっている。
もうずっと前から。
先生が嫌いな先生の秘密を、知ってしまったときから。
「……うん。先生のこと、大好き」
告白をしているというのに緊張もしないし恥ずかしくもない。
ただ、ほんの少し、体の真ん中あたりがあたたかい。
お腹の少し上、心臓のすぐ隣くらい、
ああ、ここに、こころが宿っているのかもしれないな。



