ヨウ先生との長くて短い日々を話すのに、1時間もかからなかった。
言葉にしてみると、なんてあっさりしているのだと我ながら笑えて、だけどさーちゃんは目を伏せたまま、ぜんぜん笑ってくれない。
「……どうして、なにも言わなかったの」
かわりに、絞りだすように、そう言った。
「どうしていちばんに相談してくれなかったの。そんな重大なこと、なんでひとりで悩んでたの」
「さーちゃ……」
「澄田のこと……チィと澄田のこと、わたしがほかの誰かにべらべらしゃべるとでも思った? そんなに信用できなかった? それとも澄田のことで頭いっぱいで、わたしの顔さえ思い出さなかった?」
「ち、ちが……」
「違わないっ」
膝立ちになったさーちゃんの肩を、隣に寄り添うようにしていたヤス先輩が、そっと抱いた。
耐えきれず、ぼろりと左の目から涙がこぼれていく。
それを見たさーちゃんがますます怒った顔をする。
「自業自得なんだから泣かないで」
「ごめ……」
「なにが、ゴメンなの? とりあえず謝るみたいなのやめてよ」
でも、だって、じゃあ、どうしたらいいのかわからない。
どうしたらよかったのか、わからない。
「被害者ぶらないで。イイコちゃんぶらないで。結局、チィのほうから澄田の手を放して、逃げたんでしょうに」
「…………っ、」
そうじゃない。
だって、先生は、麻里香さんのところへ行くと言ったんだ。
大切な約束の日だったのに、それを守るほうを選ばなかったのは、先生のほうだよ。



