純情、恋情、にぶんのいち!



スマホの電源はずっと切ってある。


ヨウ先生から、どんなだとしても、連絡がくるのがこわかったから。

応じてしまいそうで、こわかったから。


ヤス先輩の家は、予想外といったらおかしいけど、本当にごくごく普通の一軒家だった。


「あんまり広くないけど、テキトーにくつろいでて。さやちゃんはもう少しで来るって」

「ほんとですか!?」

「うん。すごいよね、チィちゃんの名前出した瞬間に『行く』って即答するんだもん。妬けちゃうなあ」


ヤス先輩は冷蔵庫からてきとうに食べ物を持ってくると言い、ひとりで部屋を出て行ってしまった。

モノが少ない、生活感があまり感じられない部屋。
それなのに、お洒落なインテリアが満載で、ひとつひとつにセンスの良さを感じる。


「なんか……変なことになっちゃったね」


ずうずうしく部屋を見まわしているところに、突然声をかけられて肩が跳ねる。


「まさかこんな展開になるなんておれも思ってなかった。泰人はホントなに考えてるのかわかんないよ」


あのヤス先輩のお部屋に、あのとーご先輩とふたり。
よく考えなくともこれは明らかに世界に何らかのバグが起きているはずだ。

当たり障りのない会話をしつつ、たぶん置き去りにされたふたりともが、ヤス先輩の帰りを待ち遠しく思っていたと思う。


いったいどれくらい経ったのか、数分か、あるいはもっと長い時間かもしれない、それを経て、やっと部屋の主は戻ってきたのだった。

――その傍らに、わたしの大親友サマを連れて。