純情、恋情、にぶんのいち!



涙の理由はわからない。

ヤス先輩の優しさだとか、自己嫌悪、さっきまで全身を襲ってきていた悲しさがぶり返してきていたり、もう気持ちがぐちゃぐちゃだ。


「わ、泣かないでよ。チィちゃんみたいな可愛い子に泣かれると、男は弱いんだよ」


ヤス先輩は本当に女の子の扱いが上手だ。
そっと抱かれている肩も、たぶんあまりに自然すぎたから、いつそうされたのかすら思い出せない。


「話したくなかったり、話せないことなら、無理に話さなくていいよ。でもやっぱり、おれたち、チィちゃんには笑っててほしいな」


にっこり笑ってくれたあとで、ヤス先輩は、白球をポコポコ打ち続けるとーご先輩の背中に視線を移した。


「さっき、冬吾のこと傷つけたら許さない、なーんてかっこつけて言ったけど、それはチィちゃんも同じだよ。おれ、というか、おれたち、チィちゃんのこと傷つけるやつのこと、許さないよ」


こんなふうに、言ってもらえる資格、わたしになんかいっこもない。

それでも、うれしくて、あったかくて、じーんとしてしまって、しょうがない。


「ねえ、きょうさ、おれんちでお泊まり会しない?」

「っ、えっ!?」

「さやちゃんも呼ぼうよ。えーと、だから、チィちゃんと、冬吾と、おれと、さやちゃんと、4人で? みたいな?」


そういえばさらりと聞き流してしまったけど、ヨウ先生とのこと、ヤス先輩に言っていないはずなのに、まるで全部わかっているみたいな言い方をされた。

ヤス先輩って何者? エスパー? 魔法使い? 宇宙人? 新人類?