純情、恋情、にぶんのいち!



バッティングセンターに来ていちばんはしゃいでいたのはとーご先輩だった。

ずっとバッターボックスに立ち続け、ヤス先輩はなぜか打たないで、それをうしろからずっと見守っている。


「ヤス先輩は打たないんですか?」

「おれは見る専なの」

「え、そうなんですか、せっかくいっしょに来たのに」

「シロウトが元野球部の隣でなんか打てないよ」


なにか大切な記憶を思い返すような顔をしたあとで、ヤス先輩は少しだけ、中学時代のとーご先輩の話をコッソリ教えてくれた。

キラキラオーラは昔から揺るぎなかったこととか、野球バカだったこと、ああ見えて(?)数学が常に学年1位だったこと、中学1年までは身長がものすごく低かったこと。

いつもと違う、無邪気な少年のようなヤス先輩の横顔を見ているだけで、わたしも幸せをもらえるみたいで、聞いているうちに自然と楽しくなってしまう。


「ヤス先輩、ほんとに、とーご先輩のことが好きなんですね」

「うん、好き」


思わず、どっきーん!としてしまった。

ヤス先輩の“好き”にはものすごい破壊力がある。

わかっていても、とーご先輩のこと本気でそうなんじゃないかって、ばかみたいな想像をしちゃうくらいに。