「……せんせい、に、」
「え?」
「ヨウ先生に……ふられました」
正確にはふられたわけでもなんでもないくせに、被害者ぶるなんて、最低だ。
とーご先輩の顔色が変わった。
これ以上はダメだ。
こんな本物の優しさに甘えてしまうような卑怯なマネは、絶対にダメだ。
だけどもう、止まらない。
誰かに、聞いてほしい。
ひとりでは抱えていられない。
「……先生、忘れられない、女の人がいるみたいで……それで、」
「うん」
「それで、彼女に会いに行くから待ってろって……。わたし、待たないって……言ったのに、きょうはふたりで旅行に行く予定だったのに……」
「……もういいよ、わかった」
ぽんぽん、とてもあたたかい手のひらが頭を撫でてくれる。
「泣かないで、千笑ちゃん」
見上げると、とーご先輩はまるで自分が傷つけられたみたいに、とても、悲しそうな顔をしていた。



