きっと最初からわたしの入る隙なんてなかったのだと思う。
先生と麻里香さんは、もうずっと、会えていなかった時間でさえ、お互いを想いあっていたのかもしれない。
「……もう、学校、行きたくないなあ」
あーだこーだ考えていても埒が明かないので、とりあえず見慣れた地元の街に戻ることに決めた。
歩き慣れない駅と、この通勤ラッシュの時間帯のせいで、キャリーバッグが人ごみに引っかかる。
「チッ、いってえな」
「あ、すみませ……」
「前見て歩けよ」
ドン、という音が耳に届いた。
それが自分によるものだと気づいたときにはもう、わたしはその場に膝をついていた。
隣に横たわるキャリーバッグ。
通行人はそれを邪魔そうに見下ろすだけで、声すらかけてくれないのだから、なんだかもう、全部がまるごと嫌になってしまうよ。
視界の端にタイツが伝線しているのが見えた。
だけど、もう、どうでもいいや。
このまま消えちゃえたならどんなにいいだろう。



