純情、恋情、にぶんのいち!





本音を言えば、いつまでだって待っていたかった。

けれど、それを言葉にしたらもう後戻りできなくなってしまうような気がしたから、一度もふり返らないで、歩みを進め続けた。


「はー……さむ……」


3月といえどけっこう寒い。

これからどこに行けばいいのだろう。
大きなキャリーバッグがわずらわしい。

そうだ、お父さんとお母さんのなかではさーちゃんと遊んでいることになっているわけだし、本当にさーちゃんに連絡してみようか。

いや、それより先に万幸に連絡しようか。


……ダメ、かな。

万幸には、やっぱり遊ばれていたのだとからかい倒されるだろうし、さーちゃんはコトの経緯を聞いたらきっとものすごく怒ると思う。

そう、さーちゃんに至っては、冗談じゃなく、本当に化学準備室に殴りこみに行きかねない。


「……どうしよっかなあ……」


もういっそ、この際、ひとり旅でもしてみようかな。

16歳のコムスメが本当にそんなことできるかな。


それにしても涙が出ないのはなぜなのか。

涙腺もこの寒さに凍ってしまったのかもしれない。


先生は、いま、麻里香さんといっしょに、どこにいるのだろう。