「もう、なにも、脅迫しません。わたし、ただの生徒に戻っても先生の秘密は守るから、安心してください」
ゆるゆる、きつかった手のひらが離れていく。
「迎えに来るから」
「…………っ、」
「すぐに戻ってくるから、ここにいろ、いいな」
先生の声、優しかった。
だけどもう、この優しさに甘えていてはダメなんだ。
きっと、わたしが先生を好きだから、ダメなんだ。
「……待たない、です」
「千笑」
「絶対に、待たないです……っ」
「絶対、迎えに来る」
だから待ってろ、と、そう言われたところで、車から飛び降りた。
遠慮がちに走りだした車が見えなくなるまで、ずっとずっと、見ていた。
先生は、きっと、絶対に迎えに来てくれる。



