「早く車乗れよ」
「っ、はい!」
あわてて助手席に座ると、シートベルトを締めるまもなく、いきなり頭を抱き寄せられた。
「せんせ……? ……っ、ん……!」
とても性急なくちづけ。
なんといってもわたしは先生しか知らないので、実際のところはわからないけど、きっと彼は俗に言う、キスが上手な人、なんだと思う。
だって、こうされると、すぐに頭がふわふわして、なにも考えられなくなるから。
与えられる熱を受け入れるだけでもう精いっぱいだ。
「……っは、」
「ところで春休みの課題はちゃんとやったのか」
「う……はい、がんばりました」
「いい子だ」
くちびるが触れるか触れないかの、少しの隙間。
吐息交じりの会話を終えると、すぐに、再びキスの波に飲まれた。
朝日が窓から車内に差しこみ、やわくまぶたの裏を刺す。
まぶしくて、熱すぎて、このまま溶けてしまうんじゃないかと本気で思った。
「……っん、せんせ……っ」
「……どうした」
「苦し、……です、」
先生は息を吐いて笑うと、ぐしゃりとわたしの頭をかき混ぜるみたいに撫でた。
「悪い。なんか可愛くて仕方なかった」
「……え……、えええっ」
いったいどうしたというの、
先生、そんなに甘ったるい人でしたっけ。



