「あー、はいはい、ごちそうさま。じゃあお姉ちゃん、旅行楽しんできてね! 澄田さん、ふつつかな姉をどうぞよろしくお願いしますねっ」
我が妹ながら嵐のような子だと思う。
ルンルンと音がしそうな軽やかさで去ってしまった妹の背中を見送っていると、隣から、ふう、と、大きく息を吐くのが聞こえた。
「……あー、びっくりした。心臓にワリィ」
「あっ、ごめんなさい、びっくりさせて……会いたいって、どうしても聞かなくて……」
「妹って言ったか? ぜんぜん似てないのな」
「う……そうです、万幸のほうが見た目も中身もわたしよりはるかに大人で……」
おまけにおっぱいも大きくて。
最後のは言わなかったけど、心のなかの嘆きが聞こえたのかと思うくらい、先生はタイミングよく笑った。
「実の妹相手にも拗ねるのか」
「っ、すねてないです!」
「あんまり拗ねてばっかりだと不細工になるって知ってるか?」
「えっ!」
「ずっと可愛いままでいてくれないと愛想尽かすぞ」
先生はそう言って、少しだけ優しく笑うと、そっと額にくちびるを押し当てた。
それって、それって、少なくともいまは、かわいいと思ってくれている、ということですか。
一瞬にして熱をもったオデコをさすりながら、早くも運転席に乗り込もうとしている先生の背中を、ふやけた気持ちで見つめる。



