ぼけっとした姉をよそに、先に駆け寄ったのは妹のほう。
「はじめましてー!」
「……は、」
「妹の万幸です! いつも姉がたいっへんお世話になっておりますー」
万幸の後ろでオドオドするしかないわたしに、先生の視線がギロリと向いた。
目が「おいどういうことだ説明しろ」と言っている。
「あ……えと、なんか、その……ついてきちゃって」
「なにその言い方ー!」
「ほんとのことでしょ!」
「それはそうだけど!」
こんなにかっこいい彼氏なんだから隠さなくてもいいじゃん、と、万幸はからかうように言った。
先生は、ノーテンキで悪気のなさそうな万幸の様子に多少の余裕が生まれたのか、姉妹を見ながら薄く笑うと、
「はじめまして。澄田陽平といいます」
と、眼鏡はかけていないくせに超絶人当たりのよさそうな顔で言ったのだった。
「ひゃー! すっごい大人っぽい! お姉ちゃん、こんないい男どこで引っかけてきたの?」
「ひ、引っかけ……、ちょっと恥ずかしいからやめて、黙って!」
そろそろ応戦体勢に入ろうとしていたら、ふいに、ふわりとうしろから頭を撫でられて、そうしたら全部が吹っ飛んでしまった。
「まだ秘密だな、千笑」
そうだ、先生もどちらかといえば、万幸に近いような性格をしているんだった。



