純情、恋情、にぶんのいち!





お父さんとお母さんには、さーちゃんと旅行に行く、ということにしてある。

すごく迷ったけど、妹の万幸にだけはこっそり教えた。
家族のうち、ひとりくらいは、協力者になってもらわないとマズイと思って。

わたしよりぜんぜん大人な妹に、意味深な笑顔で「頑張ってね」なんて言われて、おかしな緊張をしてしまう。


「べ、べつになにもないからっ」

「ちゃんとエロい下着買ったのに?」

「うっ……やめて、思い出すだけで恥ずかし……」

「お姉ちゃんさ、いつまでもそんなだと男に逃げられちゃうよー?」


本当にこの子は中学生なのだろうか。
本当にわたしと血を分けている妹なのだろうか。


「ねね、ところでどんな人なの? 噂の彼氏」


ニヤニヤしている顔、からかってやるという意気込みが見えて、絶対言いたくなかったのに、そうしたら「お母さんたちにバラしちゃうかもー」という脅しがひっついた。


「っ、ちょー優しくて、ちょーかっこよくて、ちょっといじわるで、大人な人!」

「えー、ぜったい嘘じゃん」

「なんでよ!」

「お姉ちゃんがそんなハイスペックな男つかまえられるわけなくない?」


わけなくない、とはなんだ。わけなくない、かもしれないじゃないか。


「それ、お姉ちゃんぜったい遊ばれてるよ」

「えっ」

「あれ、図星だった?」


遊ばれていない。
遊ばれてなんかいない。

真剣交際かと言われると、先生のほうはどうかわからないけど……あれ、もしかしてわたし、遊ばれているのかな?