「これ以上隠しても逆に傷つけるだけだと思うから、正直に言うと……あれから、麻里香とはたまに会ってた」
「っ、ずっと……?」
「黙ってたことは悪かった。でも、言ったところで、不安にさせるだけだろうと思って」
そんなのは、進行形で報告されようと、あとから報告されようと、なにも変わらないことだ。
「ただ、本当にあいつとはなにもない。それだけは……」
「でも、でも、むかし、ふたりは、つきあってたんですよね?」
たまらず、言葉を遮るように言うと、先生は驚いた顔をした。
そして小さく息を吐き、目を伏せると、なにか考えこむように眉をひそめた。
「……もう全部、聞いてるのか」
なにをどう伝えれば、わたしをちゃんと安心させられるのか、おかしな誤解を生まないのか、そういうのを考えているようで、それがすごく、嫌だ。
「ぜんぶ……か、わからない、ですけど」
「あいつが父親とうまくいってないことは聞いてるか」
あいまいにうなずいた。
わたしが聞いたのはその事実だけで、具体的なことは、なにひとつ知らない。
「大学時代はよかったみたいなんだが、就職して……最近また、父親とこじれて、それでかなり、不安定になってるみたいで」
先生は慎重に言葉を選びながらしゃべっているようだった。
それは、わたしを無駄に傷つけないための努力にも見えるし、なるだけ麻里香さんのことを守ろうとしているようにも見える。



