とーご先輩がかわいく笑う人なら、ヤス先輩は、涼しく笑う人だ。
「千笑ちゃん、だっけ? ごめんねー。ほんと、こいつ、裏があるわけでも、からかってるわけでもないんだよね。まあ普通に本気で嫌ならそう言ってもらっても……」
「いやなわけないです!!」
思わず前のめりになって言葉を遮っていた。
「あの、わたしのなんかで……よければ、です。一日じゅう使いこんだうえ、洗ってないので、汗……汗が、汗が染みついてしまっているかもしれないですが……!」
「そんなのおれのだって同じだよ」
とーご先輩の汗は神聖なるものであり、わたしのとはまったくの別物である。
「あのさ、せっかくだし、ついでにもうひとついいかな?」
「もうひとつ?」
「うん、千笑ちゃんにお願いしようと思ってたことがあって」
わたしのハチマキを受け取り、自分のハチマキをわたしに渡しながら、先輩は本当に嬉しそうに笑ってくれた。
「来年、いっしょに応援団やらない?」
たったいま手にしたばかりの白い布を、どうしたらいいのかまだ戸惑っているところだというのに、また新たな情報を脳ミソに追加されて、そろそろパンクしそう。
「おれ、来年も応援団やろうと思ってるんだけど、もし別の団になったとしても、その場に千笑ちゃんがいたら楽しいだろうなって思って。あと声が通るから絶対向いてると思う!」
じゃあそういうことで、本当にありがとう、
と言われても、いったいどういうことなのか、こちとらさっぱりわからない。



