先生の膝の上。
はじめのうちはどきどきしてしょうがなかったここを、最近はとても安心する場所に感じるようになった。
「それって、モノじゃなくてもいいですか?」
「たとえば?」
「時間……とか」
クリスマスにもらった赤いハートのネックレス、本当に嬉しくて、欠かさずに毎日ずっと着けている。
きょうも制服の下にちゃんと忍ばせてきた。
でも、クリスマスは、それ以上に、一日中先生といっしょに過ごせたことを心から幸せだと思ったんだ。
「ホワイトデーのお返しは、できたら、一日デートがいい……です」
また子どもっぽいことを言ってしまったかもしれない。
「おまえほんと安上がりだな」
案の定、先生はちょっと笑いながらそう言った。
それでも頭を撫でてくれた手のひらを、嫌だなんてぜんぜん思わなかった。
「ただのデートでいいのか」
「え……なに、ただの、じゃなければ、どんなデートですか」
「そうだな、たとえば、旅行するとか」
「っ、旅行……!!」
夢のようなワードだ。
旅行。
それも、ヨウ先生と、ふたりきりで。



