「それで?」
「え……」
「上杉くんに好きだと言われて、気持ちが揺らいでしまいましたか」
そんなわけない。
たしかに、とーご先輩は優しくて、かっこよくて、キラキラしていて、ほんっとうに素敵な人に違いないけど。
「わ、わたしが、先生以外の誰かを好きになるなんて、ありえないですっ」
「ふ」
「ええっ」
なぜここで笑うの!
こっちはものすごく真剣なのに!
「そんなこと、わざわざ言われなくとも知っていますよ」
先生の優しい笑顔が好き。
たまにいじわるになる目も、冷えた指先も、ぜんぶ、大好き。
眼鏡があっても、なくても。
それだけは、きっと、絶対に変わらない事実だ。
「先生、大好きです」
「知っています」
思わず首に抱きつくと、先生もぎゅっと抱きしめ返してくれた。
それをとてもかけがえのないことに思う。
だから、いままでも、これからも、わたしの好きな人はただひとりだけなのです、先生。
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