「……言い訳くらいしてはどうです?」
「せんせ……」
「だからきみは、お馬鹿さん、と言われてしまうんですよ」
見上げた先生の瞳、もう冷たくない。
「お……怒って、ない、ですか……?」
「怒ってはいますよ。当然です」
「う……」
そっと手を引かれて、先生の机の上に座らされる。
そして、とん、と体の両脇に置かれた両手のせいで、わたしに逃げ場はなくなってしまった。
まさか、眼鏡ありの先生に、こんなことをされるなんて。
「あれで怒らない男のほうが、ちょっと考えものでは?」
あきれたように言いながら、右手でわたしの顎をおもちゃみたいに掴む。
「恋人にしろ――と。
きみのほうから言い出したというのに、ほかの誰かに体を許しかけるとはなかなか軽薄な子ですね」
そっとくちびるが重なったかと思えば、ちゅうっとかわいい音をたてながら、すぐにそれは離れた。
「きら……嫌いにならないで、ほしいです、先生」
「……嫌いにはなりませんが、お仕置きはしないといけませんね」
「え……」
「まずはなにがあったのか、きちんと説明してもらいましょうか」
先生は、なにかと髪を触る癖があると思う。
中学のころから変わっていない、つるんとしたボブの黒髪はお気に入りだけど、ヨウ先生の手が触ってくれた場所だから、もう切れなくなってしまった。



