先生は、施錠を済ませると、すぐにわたしたちの前から消えた。
とーご先輩と共に取り残された、静かすぎる保健室の前。
「…………」
「…………」
……気まずすぎる。
「……あの、さ」
「あのっ!」
「えっ?」
「あの……、いろいろとごめんなさい! ありがとうございました! 帰ります! さようなら!」
「ちょ……、千笑ちゃん!」
追いかけてくる声から逃げるようにその場を離れた。
これ以上、とーご先輩の優しさに甘えたくない。甘えたらダメだ。
だって、わたしはどうしたって、ヨウ先生のことを好きだから。
だから、とーご先輩の告白を断ったときは涙が止まらなかったし、きのうの夜はベッドに入ってからもめいっぱい泣いた。
それは、わたしがとーご先輩の優しさを知っているからで、知っているのに、気持ちに応えられないからで。
とーご先輩、ごめんなさい。
何度も心のなかで唱えて、ヨウ先生の元へ走った。



