純情、恋情、にぶんのいち!




呆けきった頭を揺らしながら、ふらふら下駄箱へ行くと、さーちゃんが待っていてくれた。


「お疲れさま。カンちゃんは大丈夫?」

「うん、大丈夫、もう帰るって」


いつものクールなその顔を見た瞬間、なんだか突然、現実に引き戻された感じがした。

ほんの少しだけ安心できる。


「……どうしたの? なんか顔色、悪いみたいだけど」

「えっ!?」

「なに?」

「いや、ぜんぜん、べつに、ダイジョウブ!」

「はあ? なにその反応」


いきなり、壊れた扇風機のごとくぶんぶん首を振るわたしに、さーちゃんは訝しげに首をかしげるけど、絶対になにも悟られるわけにはイカンのです!

だって……だって……!


「……まあ、いいけど。それよりチィ、上杉先輩にハチマキもらいに行かなくていいの?」

「え、だって先輩、もうとっくに帰ったんじゃ……」

「いろんな女の子に囲まれて、とても帰れる状況じゃないみたいだけど?」


ふと耳に入ってくる黄色い声。

目をやると、グランドの隅には、女の子たちに囲まれているとーご先輩とヤス先輩がいた。


さすが、おモテになるなあ。よく知っているけど。


でも、その光景はなんだか、手の届かない芸能人を見ているような感覚に近く。

あのなかに果敢に入っていこうなどという気持ちは、いざ目の当たりにすると消え失せてしま……


「――あ! 千笑ちゃん!」

「……う!?」