何トンにも感じる引き戸のむこう側へ飛び出すと、花のように可憐で、棘のように厳しいふたつの目が、おれを迎えてくれた。
「お疲れさまです」
「あー、さやちゃん、冬吾のこと連れてきてくれてありがとう」
「……金輪際、こんなバカなことに巻きこむのはやめてくれませんか」
さやちゃんが背伸びをしておれの髪に触れる。
それに引っぱられるみたいに、そっと小さな肩に頭をあずけると、ふわりと良い香りがした。
女の子のにおいだ。
「……離れてもらえませんか」
「さやちゃん、チィちゃんのこと泣かせて、ほんとにごめんね」
「それだけは一生許すつもりないです」
「それは一生おれと一緒にいてくれるってこと?」
「揚げ足とらないでもらえます?」
ふふっと笑うと、なに笑ってるんですか、と冷たい声。
「それより、いいんですか? 上杉先輩の怒ってる声聞こえてきましたけど」
「うん、これで正解」
「いったいなにがしたかったんですか」
ため息まじりで訊ねられても、カッコイイ答えなんかひとつも思い浮かばないし、いまからバカ正直にダサイ返答をするけど、許してほしい。



