男のおれが言うのも何だが、冬吾は相当きれいな顔をしていると思う。
どこか憂いを帯びたそれすら美しいのだから、こいつが『王子』なんてサムイあだ名で呼ばれているのもうなずける。
おれみたいにそれを絶対に利用したりしない、
そういう、クリーンなところも。
「……きょう、千笑ちゃんに告白してきた」
「ふうん、で?」
「…………」
この先は聞かずとも想像できたが、わざわざ先回りはしたくなかったので、黙っておいた。
長い沈黙に手持ち無沙汰になったおれが、とうとう冬吾の大福に手を伸ばしかけたとき、重たいくちびるは小さく動き始めたのだった。
それでも、手を止めて耳を澄まさなければ聞こえないほどの、へなちょこの声だ。
「……ふられた」
たった一言。
それでも、果てしない重さの、4文字。
いざとなると、そうか、と曖昧な相槌しか打てない自分が、とたんに情けなくてたまらなくなる。
「しかも、おれ……千笑ちゃんのこと泣かせちゃったし」
あのコがどうして泣いたのか、その理由はあまりにも明確で、思わず笑ってしまった。
たぶんあのコは、平気な顔をして自分を好きな男を振ることのできるような、そういうクールでドライな女の子ではないだろう。



