わたしもとーご先輩のこと、とっても好きです。
なんてとぼけたことは、自他ともに認めるおばかさんのわたしでも、さすがに言えない。
先輩の“好き”と、わたしの“好き”。
それがまったく違っていること、なんとなく、わかってしまったから。
「と、とーごせんぱ……、」
「……またそんな困った顔するんだね」
悲しそうに笑ったとーご先輩は、それでもわたしから目を逸らさないでいる。
そのまっすぐさがまぶしくて、少しだけ痛くて、わたしのほうが先に、目を逸らしてしまった。
とーご先輩が少し上で息を吐く音が聞こえた。
それを聞いたら、なんだか泣きたくなった。
「……なん、で、わたしなんか、」
「こんなおれにへたくそに好きだって言われて、なによりまず、そういうふうに言っちゃう女の子だから、かな」
とーご先輩は肩をすくめながら言った。
「なんにも背伸びしてない、ありのままの感じ、飾っても、気取ってもない、いつでも等身大でいる姿、すごくいいなって会うたびに思うから」
「そんな……」
「千笑ちゃんと一緒にいると、おれが、自然体でいられるんだよ。すごくほっとする。おれもこんなふうになれたらなって思うくらい」
わたしなんかはまぎれもなく、とーご先輩のファンのうちのひとりでしかないわけで。
そんなにもったいない言葉をかけてもらえるような存在じゃない。
ただの、後輩。村娘A。
シンデレラにはなれない、名前のない存在だ。



