「……ふはっ」
「とーご先輩も笑ってるじゃないですか!」
「千笑ちゃんが笑うからつられたんだよ」
とーご先輩は陽だまりのような人だなあと、接するたびに思う。
いっしょにいるだけで、いつもじんわりあたたかくて、ほっこりする。
とーご先輩の優しい笑顔は、周りのみんなを笑顔にしてくれる。
「わたし、とーご先輩の笑った顔、好きです」
「…………っ、」
「へへ」
自分で言っておきながら、なんだか恥ずかしくて、誤魔化すためにもういちどココアを飲んだ。
甘ったるい。
あたたかい。
「……ずるいよ」
「え……」
「千笑ちゃん、いつも、ほんとずるいよな」
とーご先輩の、あたたかい、大きな手のひらが、ペットボトルを握るわたしのそれに重なる。
いったいなにが起こっているのかわからなかった。
わからないまま、とーご先輩の顔を見上げると、どこまでも真剣な瞳がこちらを見つめていて、面食らった。
「……あのさ」
声が白色に変わって、曇りの空へ上って、消える。
「もう……なにから伝えればいいのかわかんないけど」
「……は、い」
とーご先輩の少し困った感じの顔なら何度も見てきた。
けれど、こんな表情、知らない。
こんな……苦しそうな、表情は。
「――好きなんだ、千笑ちゃん」



