ランチのあとは、近くのショッピングモールに行って、のんびりウィンドウショッピングをした。
「ずっと外にいるとさすがに寒いね」
「ほんとにそうですね」
「あったかいものでも飲もうか?」
すぐ近くにあった自動販売機の前で足を止める。
あたたかいココアを選んでボタンを押すと、取りだして、とーご先輩はそれをわたしの頬にくっつけたのだった。
「…………っ!」
「ははっ、耳まで真っ赤になってる」
びっくりした。
極寒のなかで急にあったかいものをくっつけられたからじゃない。
そうじゃなくて、この行為、そのものに。
けれどもそんなことはおかまいなしに、とーご先輩はまぶしい笑顔を見せながら、軽快にペットボトルの蓋をまわしている。
「びっくりさせてごめんね。はい、どうぞ」
当たり前みたいに買ってくれて、自分は飲まないで、当たり前みたいに、差しだしてくれる。
両手で小ぶりのペットボトルを受けとると、手のひらを伝って、じんわりとした温もりが全身に広がっていくみたいだった。
お礼を言って口をつける。
甘ったるいそれは、もう、とーご先輩そのものだ。
「お先にいただいて、すみません、ありがとうございます」
「あ、おれはいいよ、それ千笑ちゃんの」
「え! そういうわけには、」
「いいよ、ぜんぜん、そんなに寒くないし」
「うそ、けっこう先輩も寒そうです」
マフラーの上からのぞく鼻のてっぺんが赤く染まっている。
その色はまるで少年のようで、いつも万幸にしているみたいに、思わず手を伸ばしてしまっていた。



