「お休みの日にいっしょにお出かけしといて、こんなこと聞くのもアレですけど……とーご先輩、彼女さんとか……いらっしゃらないんですか?」
うん、
と、とーご先輩はちょっと恥ずかしそうにうなずいた。
「いないよ。いたらクリスマスイブは予定があったはずだし、こうして女の子とふたりで出かけたりしない」
とーご先輩なら、選びたい放題、よりどりみどり、のはずなのに。
それともメチャクチャ理想が高いとか?
一国の王子だもの、一国の姫に値するような女性でないと、そりゃあ釣り合うはずもない。
「ていうか、おれもほんといまさらで悪いけど、千笑ちゃんは彼氏……いないの?」
「えっ!」
予想外のカウンターに、おもいきり声がひっくり返ってしまった。
彼氏……、彼氏って?
クリスマスの話の流れだと、わたしの彼氏は、いま、ヨウ先生……でいいのかな?
けれども先生とお付き合いしているとは口が裂けても言えない。
死んでも、ちょっと言えない。
「……え、と」
「うん」
「好きな人、なら……います」
これがいまのわたしにとって精いっぱいの答えだった。
そうしたら、なぜか、とーご先輩のきれいな顔がとたんに曇った。



