純情、恋情、にぶんのいち!





ごはんに行こう

と、王子様からもったいなさすぎるお誘いをしていただいたのは、クリスマスイブの埋め合わせの約束があってのことだった。

本来ならわたしから誘うべきだった案件。
もちろん忘れていたわけではない。

それでも、社交辞令とも取れないことはないあれを、村娘Aが本気にできるはずもなく、きっととーご先輩はそれを踏まえて律儀にお誘いくださったのだと思う。

なんというデキたお方なの。


どういう事情があろうと、男の人と出かけるという事実には変わりないので、いちおう先生には報告した。

眼鏡なしのヨウ先生には、いつも通りのトーンで、勝手に行けばいい、と言われてしまった。


それはそれで、なんだかなあ。
さみしいと思ってしまうのは、わがままでしょうか。


「……あ、とーご先輩っ」

「わ、おれまた待たせちゃったのか! ごめんね」

「あっいえ、わたしもいま来たところなので!」


とーご先輩は、きょうもやっぱりまぶしいくらいにキラキラしていて、隣を歩くことさえためらってしまう。

それでも歩幅を合わせようとしてくれるので、わたしも必死で足を動かした。


「千笑ちゃん、パスタ好き? 泰人がおいしいとこ教えてくれて」

「はい、パスタ、とーっても大好きです!」

「ほんと? よかった、じゃあそこでお昼食べよう」


ささいな言動のひとつひとつに、優しさや気遣いを感じる。

きっと全部、自然と、無意識にやっていることだと思う。

いったいどんな教育を施されてきたのか気になるところである。


これは100%想像だけど、きっととても素敵なご家族のもとで、たくさん愛されて育ってきたんだろうな。

そしてとーご先輩は、その愛情を、ほかの誰かに惜しみなく使ってくれる人なんだな。